怪獣たちの足元で、明日を考える。
第35話 Strength

体重という真実 ―― 計量が教えてくれること

Gō Shiomi Gō Shiomi
体重という真実 ―― 計量が教えてくれること

「体重は?」とガリョウが聞いた。

朝の練習前、僕は体重計に乗った。数字が出た。試合のカテゴリより2キロ重かった。

🦖 ガリョウ

想定内か。

🦕 ノビ

……微妙なところです。

🦖 ガリョウ

正直に言え。想定内か、想定外か。

🦕 ノビ

……想定外でした。もう少し軽いと思っていました。

ガリョウは何も言わなかった。ただ体重計を見ていた。


数字は嘘をつかない

その夜、クロワが表を持ってきた。

🐉 クロワ

90日で2キロ落とすのは難しくない。1週間に約150グラム。日々の食事と水分をコントロールすれば、技術的には可能だ。

🦕 ノビ

難しくない、という言い方をするんですね。

🐉 クロワ

数字の上では、という意味だ。人間の体は数字通りには動かないことも知っている。ただ、数字を無視して感覚だけでやるのは、もっと難しい。

クロワは続けた。

🐉 クロワ

数字は嘘をつかない。嘘をつくのは、数字を見る側だ。

体重計と記録帳を前に話す3匹
数字は嘘をつかない。嘘をつくのは、数字を見る側だ。

体への嘘

翌日、ガリョウが言った。

🦖 ガリョウ

一つだけ言っておく。体に嘘をつくな。

🦕 ノビ

嘘、というのは?

🦖 ガリョウ

無理な水抜き、食べなさすぎ、寝なさすぎ。短期間で数字を合わせようとして、体の限界を超えることだ。

🐉 クロワ

医学的には、急激な脱水は筋肉のパフォーマンスを最大30%低下させる。体重だけ落として試合に臨んでも、本来の力が出ない。

🦖 ガリョウ

試合で使いたいのは、軽くなった体か、強い体か。どちらかを選べ。

僕は少し考えた。当たり前のことのように聞こえるが、試合前に体重を気にすると、人はおかしな方向に動く。水を飲まない。飯を食わない。体が悲鳴を上げているのに、数字を見て安心しようとする。

🦕 ノビ

……強い体を選びます。

🦖 ガリョウ

それでいい。


正直な現在地

体重管理を始めて一週間が経った。食事を見直した。水の量を記録した。朝と夜に体重計に乗った。

数字が少しずつ動いた。

🐉 クロワ

予測範囲内だ。このペースを維持すれば、試合3日前に目標体重に到達できる。

🦕 ノビ

3日前に合わせると……試合本番は少し戻りますね。

🐉 クロワ

その通りだ。計量後に適切に栄養を補給すれば、体は戻る。戦略的な体重管理とはそういうものだ。

ガリョウが窓の外を見ながら言った。

🦖 ガリョウ

体重計が一番正直だ。練習がどれだけできているか、食事がどうか、回復できているか、全部数字に出る。

🦕 ノビ

……怖いですね、それは。

🦖 ガリョウ

怖いと思う間は、まだ正直に向き合えていない証拠だ。正直に向き合うと、怖くなくなる。ただの情報になる。

僕は体重計の数字を見直した。2キロという差は、大きくもあり、小さくもあった。でも今日の自分の正直な現在地だ。ここから始まる。

朝の体重測定、ノートへの記録
体重計が一番正直だ。正直に向き合うと、怖くなくなる。ただの情報になる。

その日の夜、ノビはノートにこう書いた──

体重は正直だ。嘘をつかない。 今日の数字は、今日の自分の現在地。 ここから始めるしかない。それでいい。

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