怪獣たちの足元で、明日を考える。
第43話 Strength

翌朝 ―― 世界一になった朝に考えること

Gō Shiomi Gō Shiomi
翌朝 ―― 世界一になった朝に考えること

世界チャンピオンになった翌朝、ノビは普通に目が覚めた。

6時14分。空腹だった。肩が少し痛かった。昨日の決勝で引っ張られた跡だった。窓の外は晴れていた。ロングビーチの朝だった。

何かが変わった気がしない。

変わっていないのかもしれなかった。変わったのかもしれなかった。よくわからなかった。


朝食を食べながら、昨日のことを思い返した。決勝の2ポイント。相手の顔。審判の手。

🦕 ノビ

……特別な感じがしないんです。

🦖 ガリョウ

そういうものだ。

ガリョウはコーヒーを飲みながら言った。驚いていなかった。

🦖 ガリョウ

ゴールは目的地じゃない。通過点だ。着いた瞬間に、次が見える。

🦕 ノビ

次……

🐉 クロワ

ADCC世界選手権。12月。ノーギ世界選手権。ムンジアル防衛。

クロワはすでに次を検索していた。


午後、会場に戻った。他のカテゴリの試合が続いていた。

タタミの隅で、小さな子供が練習していた。たぶん10歳くらい。うまくいかなくて、泣きそうな顔をしていた。コーチが何かを言っていた。子供は頷いて、もう一度やった。

ノビはしばらくそれを見ていた。

🦕 ノビ

自分も、ああだったんでしょうか。

🦖 ガリョウ

今もそうだ。

🦕 ノビ

え?

🦖 ガリョウ

うまくいかないことは、まだある。次の試合でも、必ずある。それがなくなったら、練習は終わりだ。


夜、メダルを眺めた。金色だった。重かった。

🦕 ノビ

これ、どこに飾ればいいんでしょうか。

🐉 クロワ

一般的なアスリートは、トロフィーケース、寝室の壁、またはスポーツ用品店の棚を利用する傾向がある。

🦖 ガリョウ

見えないところにしまっておくといい。

🦕 ノビ

なぜですか。

🦖 ガリョウ

毎朝それを見たら、自分はもう頂上にいると思い始める。頂上にいると思ったら、登るのをやめる。

ノビはメダルをバッグの底にしまった。


日本への帰りの飛行機を予約した。3日後の便。

窓の外、夜のロングビーチが光っていた。太平洋がその先にあった。向こう側に、道場がある。タタミがある。

🦕 ノビ

帰ったら、すぐ練習に行きます。

🦖 ガリョウ

知ってた。

ガリョウはそれだけ言った。

続きがある。それがいい。

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